早春映画祭り early spring film festival
今月もなぜか映画を見る機会が多く、これじゃ私まるで映画好きな人みたいじゃん、と不思議な気分。シリーズ化する気はないのですが。
「Beauty―うつくしきもの」
仕事の関係で上映会があり、鑑賞しました。特に感想もありませんが、ひとつだけ気になったのはソ連兵の言葉です。一人(二人?)不自然なロシア語を話すソ連兵がいました。あれはネイティブなのか?他の国の人がロシア人を演じているのではないか?私はそういうところがとてもとてもひっかかってしまうのです。使うなら、本物にしてほしいのです。シベリア抑留の経験があるお年寄りは、私のように思いながら見るかもしれません。でも私の耳が衰えているだけで、実は本物だったら申し訳ありません。
「ヒトラーの贋札」
収容所の仕事にもいろいろあったこと、それぞれの立場で生きるための葛藤があり、でもその葛藤が思わぬ結果につながったりしたこと、などなど知らなかったことを知りました。秀作だと思いました。ユダヤ人はこの映画では完全な被害者で、迫害を受ける側です。のちにみたNAKBAでは逆でした。
「4か月、3週間と2日」
ルーマニア映画です。当時違法だった堕胎手術を受けようとするルームメイトの手助けをする主人公。地味な映画ですが、私は主人公にとても感情移入してしまいました。いるんだよ、ああいう女の子。他力本願で、自分のことがちゃんとできなくて、周りに平気で迷惑をかける女の子。できない、やってもらう、っていう甘ったれたぐずぐずした女の子。そして日本ではそういう子が女らしいとか守ってあげたいとかいう理由で男受けがよく、そうでない女性は可愛げがないとかしっかりしてるとかで敬遠される。(外国人の友達とはよくこういう話をして盛り上がります)「ルーマニアにもいるんだ、こういうタイプ!困るよねぇ・・」と少しはずれたところで共感してみました。私はあんな友達のために、あそこまではできません。
「ビルマ・パゴダの影で」
ビルマの軍事政権に弾圧される少数民族に潜入取材をした意欲作です。少数民族の置かれた状況は厳しく、いつ見つかって殺されるかもわからないという状況の中で、移動し、川を越え、逃げ暮らしている事実を初めて知りました。もはや何のために生きているのかわからなくなりそうですが、暗い表情で必死に生きている彼らの姿はショッキングでした。彼らを強制退去させて作ったリゾートで喜んでバカンスしている人たち(私も含め)は、いったい何なんだ?!という気持ちになります。深刻そうな音楽で、悲惨さをあおる演出は好きになれませんでしたが、これはドキュメンタリーだから、映像に嘘はありません。事実は事実。伝えることに意義があります。
「パレスチナ1948 NAKBA」
NHKのニュースで広河隆一氏のこの映画を取り上げていて、とても見たかった作品です。40年間にわたる取材に基づいた、素晴らしいドキュメンタリーでした。映画というより、良質の報道番組というか、心にずっしりと響いてくるものがありました。ユダヤ人がパレスチナ人に何をしてきたのか、様々な立場の人たちが語ります。長年にわたって撮りためた写真と映像から重みのある現実がつきつけられます。「ヒトラーの贋札」ではナチスに迫害されていたユダヤ人は、「NAKBA」ではパレスチナ人を迫害している側でした。殺し合いは悪循環しか生まないのに、どうして世界各地でこんなことばかり起こるのでしょうか。
広河氏がこの記録を撮れたのは、第三者の立場だったからかもしれません。日本とアジア諸国の問題も、どちらの味方でもない全く違う立場の人が客観的に双方を取材すれば、このような記録が残せるのではないかとも思いました。
一連の映画を見て、土地は誰のものか?ということばかり考えました。池澤夏樹さんの「静かな大地」では、和人がアイヌの人たちの土地を取り上げて北海道を統治し始めてしまった様子が書かれていました。彼らにとっては、それは昔から自分たちの土地だったのに。
ビルマで、長期の定住ができずに逃げ暮らす少数民族も自分たちの村は破壊され、もはやそこに住むことはできません。泉がわく豊かな土地に暮らしていたパレスチナ人たちも、先祖から築いた村を追い出され、難民となっています。
弥生映画賞は間違いなくNAKBAに決まりです。たくさんの人に見てほしい映画です。こういう映画にこそ、お金を払いたいと私は思います。
お金を払うことは、支持すること。
次にぜひみたいドキュメンタリーは「おいしいコーヒーの真実」
なんだか私最近、真面目なことばっかり書いてますのう。なんでだろ。
